暑さも落ち着いてきた8月の下旬。町の図書館では、翔とベッティが夏休み明けのテストに向けて勉強をしている。前回ベッティが、「一緒に勉強しよう」と翔を誘ったが、この様子だとその誘いは成功したようだ。
集中を維持できる、ブロック式勉強法とは?
ベッティといると、周りの人の目が気になって集中できないよ
人のせいにしないでよ
私も、前は長く集中が続かなかったけど
クラスメイトのマイクに”いい方法”を教わってから調子いいわ
図書館でヒソヒソと話している2人は、高1の翔(あだ名は「たなしょう」)と、日本のインターナショナルスクールに通う中2のベッティ。もうお馴染みの2人ですね。
ブロックって、レゴブロックみたいに、積み重ねて建物や人物を作るおもちゃのブロックのこと?
今回のテーマは「集中を維持するには?」です。
遊びのように勉強を組み立てる「ブロック式」とは、一体どんな勉強法なのでしょうか?
小さくて、種類もいくつかしかないのに、すごく大きいものを作れる
確かに、ブロックの種類が少ないのに、大っきいものが作れるね
数は必要だけど
勉強を計画する時、
やらなきゃいけない課題を、どれくらいの時間でやるかって考えない?
うん、「試験範囲が20ページだから、1日5ページで4日かかる」みたいに考えてるよ
たとえば、事情があって勉強ができない日があったり、時間内で予定の分量が終わらなかったことない?
お陰で、夜中まで勉強したり、計画を作り直すはめになったり…
決めた分量をこなすのに、夜遅くまでかかって、次の日ダルくなったりね
決めた分量を達成できない日があると、自信をなくすし、次の日にやる量が倍になっちゃう
そんなんが続くと、勉強することがおっくうになるんだよ…
そこで、ブロック式勉強法の出番なの
ブロック式勉強法は、勉強をおっくうに思わなくしてくれるのよ
はいはい(笑)
この方法ではね、やる「分量」は決めず、「時間のブロック」を積んで計画を作っていくの
計画を予定通りこなせないのは、与えられた時間内にこなしきれないことをしようとするからでしょ?
だから、一日に勉強する「分量」ではなく、一日に勉強する「時間」を、ブロックに分けて決めるのよ
ポイント① 「ブロック式」は、「時間をブロックに区切って積む」方法!
たとえば、1ブロックを1時間とすると、学校のある日は、帰って来てから2つか3つのブロックを作る
「この日は予定がないから◯ブロック積めるな」って決めたら、優先的にやる科目だけ決めて、後は決まった時間にできる量をやるだけ
青のブロック=時間のブロック
予定を立てるときに大事なのは、「分量」を決めないことよ
やる「分量」を決めると、決めた「分量」をこなすのに、時間が足りなくて後にしわ寄せか行ったり、気持ちが落ち込んでしまう
逆に時間が余ってしまっても、余った時間がもったいないわ
そっか!「時間」だけを決めれば、与えられた時間を最大限に使うことができるんだ!
それに、決められた時間勉強すればいいだけだから、達成しやすい!
ポイント② 「分量」を決めないから、達成感が得やすい!
そして、この方法の最大のメリットは、集中しやすいこと
「時間」をブロックで区切ることで、「タイムリミット効果」で集中できるの
「いつまでに終わらせる」っていう期限があることで、焦って集中できる効果のことよ
あー、ブロックがあることで「決まった時間でどれだけできるか」「リミットまであと◯分だ」って考えることができて、集中が高まるのか!
課題の期限が決まってないと、いつまでたってもやらないのと同じだね(笑)
そう!いつまで続くかわからない朝礼の校長先生の話は集中して聞けない、みたいなね
ポイント③ 「タイムリミット効果」で、集中力アップ!
でも、このやり方だと1ブロック終わったとき、きりが悪いところで終わっちゃわない?
それが、逆にいいの!
「きりが悪い」から、休憩をはさんでも集中を維持しやすいのよ
きりがいいところで終わると、次に進むのにハードルがあると感じたりしない?
あぁー、きりがいいところ終えて休憩すると、また始めるのがダルくなったりはする!
それよ!科学でいう*「慣性の法則」と同じで、一度止まって(終わって)しまうと動き出すのにエネルギーが必要になってしまうの
*「慣性の法則」・・・静止している物体は静止し続けて、運動している物体は動き続けるという法則。
きりが悪いと、休憩中も頭の中ではその課題は終わっていないことになる
何をするか考えたりするのに、エネルギーがいる「スタート」を、再始動のときじゃなくて、継続して勉強している間に挟むのか!
あと、小さい工夫だけど、時間が終わっても教材を開いたままにすると始めやすくなるって、マイクが…
じゃあ、時間がきたら、きりが悪くても終わりにしなきゃダメだね
ポイント④ 「きりが悪い」が、再始動をスムーズに!
小さなブロックを積み上げることに集中して、大きいものを作る
遊びくらいに思ってたほうが、翔にはいいかもね(笑)
実は、この方法には、もう一つ「ブロック式」ならではの楽しい特徴があるのよ
「ブロック式勉強法」という画期的な、方法を知った翔。しかし、この勉強法にはまだメリットがあるようです。いったいそれは何なのか、それは次回のお楽しみに。
第5話のおさらい
ポイント① 「ブロック式」は、「時間をブロックに区切って積む」方法!
ポイント② 「分量」を決めないから、達成感が得やすい!
ポイント③ 「タイムリミット効果」で、集中力アップ!
ポイント④ 「きりが悪い」が、再始動をスムーズに!
一日に勉強する時間を、ブロックで区切って積む、「ブロック式勉強法」。
この方法は、与えられた時間を最大限に使える、達成しやすいから勉強がおっくうにならない、集中力が維持しやすい、というメリットがあります。
「ブロック式勉強法」、試してみてくださいね!
次回・連載第6話「休憩がいらない?ブロック式勉強法の特徴とは」