スピーキングやライティングに比べて、英語4技能試験対策の中でもリスニングはあと回しになりがちではないでしょうか?しかし長い目で見ると、英語でコミュニケーションを取る上でリスニング力は非常に重要になります。
言葉はもともと「音」として誕生し、その後文字を使用するようになったという歴史があります。したがって、すべての言語において「音」のやり取りであるスピーキングとリスニングが基本になるわけです。
そこで本記事では、効率よくリスニング力を上げるための対策法を3つのレベル別でご紹介します。
※本記事で紹介する3つのレベルは、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)の基準をもとに分けています。
目次
①初級者向きリスニング対策
CEFR目安 A1
英語レベル
・ゆっくりした速さ/繰り返し聞けば、理解することができる
・簡単なトピックや指示であれば、理解することができる
・知っている単語であれば、単語と単語の繋がりの音を理解することができる
※たとえば”Nice to meet you.”が「ナイス トゥ ミート ユー」ではなく「ナイストゥミーチュー」と発話されることを理解し、聞き取ることができる。
初級者向けの教材を使おう!
初級者がリスニング対策をする際は、「初級者向けの教材」を使うことをおすすめします。英語をそこまで聞き取れない段階で、難しいボキャブラリーが使われているニュースや、早いセリフが多い映画を見ても、聞き取れないばかりで効率が悪いからです。
初級者におすすめの教材
・Voice of America(初級者用の英語学習教材が揃っています)
・News in Levels(最新の世界のニュースを、ご自身の英語レベルに合わせて3段階から選べます。)
・子供向けのオーディオブック
・子供向けのインタビュー番組
注意:自動字幕機能は使わないようにする
YouTubeなどの動画に自動で字幕が付く機能がある場合もありますが、自動字幕は間違っていることも多いので、英語学習には不向きです。
「聞き流し」はやめよう!
動画や音声を使ってリスニング対策をする際に最も重要なことは、「聞き流し」をしないことです。
人は注意を向けるものしか認知できません。そこで何を学ぼうとしているのかを意識することが大切です。 せっかく時間を使って英語を聞くのであれば、なんとなく受け身で聞いて終らないように注意しましょう。
聞き流しで終わらないためには、情報を得ることを意識して聞くようにしましょう。そこで、初級者でも「効果的にリスニング対策ができる5ステップ」をご紹介します。
効果的にリスニング対策ができる5ステップ
ステップ 1.
1分ほどの英語の音声を用意します。音声の文字起こし(原稿)があるもの、もしくは英語字幕付きの音声を選びましょう。
ステップ 2.
原稿や字幕を見ずに音声を聞きましょう。音声の内容をだいたい理解できるまで、何度聞いてもOKです。気になった部分、わからなかった部分はメモしておきましょう。
ステップ 3.
原稿を見ながら音声を聞きましょう。わからなかった部分が理解できるようになるはずです。
ステップ 4.
音声に続いて発音してみましょう。英文を声に出すことで、 発音の特徴やフレーズのパターンなどがわかるようになり、リスニング力アップにつながります。
音声に続いて発音する学習法を「シャドーイング」といいます。シャドーイングについて詳しくはこちらをご覧ください。
ステップ 5.
最後に、新しく学んだフレーズや単語をノートに書き出しましょう。新しいフレーズや単語を習っても、復習をしなければすぐに忘れてしまいます。ノートに書いておけば、あとで見返して復習することができます。
②中級者向きリスニング対策
CEFR目安 A2~B1
英語レベル
・一般的なトピックについて聞き取り、理解することができる
・物や場所についての簡単な指示や説明を理解することができる
30分番組を活用しよう!
徐々に英語を聞き取れるようになったら、「初級者向けの教材」に加えてネイティブスピーカー向けのコンテンツを視聴してみてください。
おすすめは、30分程度の番組を使うことです。番組を1本見終わることが小さな達成感につながります。
リスニング教材として映画を使いたいという人もいるかもしれません。しかし映画は1本見終わるまでに時間がかかるので、繰り返し視聴して勉強する教材としては少々不向きです。それでも映画を使って勉強したい場合は、短いシーンで区切ることで繰り返して見やすくなります。
中級者におすすめの教材
・Breaking News English (アメリカ英語とイギリス英語、両方が揃っています。)
注意:英語字幕は必要なときだけ使おう!
字幕(原稿)を見ながら英語を聞いていると、文字に頼ってしまうものです。リスニング力が付き始めても引き続き字幕(原稿)に頼ってしまうと、リスニング力の伸びを邪魔してしまう恐れがあります。聞き取れなかった箇所に絞って字幕(原稿)を活用するようにしてみてください。
予想・想像しながら聞こう!
中級者レベルのリスニング力が付いてきたら、次にどのような情報が来るか予想しながら音声を聞く癖をつけましょう。英語4技能試験対策として、内容を整理しながら解答を探す訓練にもなります。
状況を想像しながら聞くことも大事です。登場人物同士の関係や、話の中に出てくるモノとどのようにつながっているのか、なぜこの話題になっているのか、などを考えてみてください。
予想や想像しながら聞くことで、リスニングに追われるのではなく、リスニングを追う感覚がついてくると思います。
キーワードに注意して聞こう!
名詞や固有名詞などのキーワードに注意して聞くようにしましょう。キーワードを聞き取る練習としては、ニュース番組を聞くことをおすすめします。
③上級者向きリスニング対策
CEFR目安 B2~C1
英語レベル
・社会問題などさまざまなトピックに関する長い会話を聞き取り、理解することができる
・会議の内容を聞き取り、理解することができる
・ニュース、映画、テレビ番組、ポッドキャストなど、ネイティブも視聴するコンテンツを聞き取り、理解することができる
TED Talksを活用しよう!
大体のことは英語で聞き取れるようになったら、あとは聞き取れる英語の幅を増やすのみです。
少し難しいボキャブラリーを増やすには「TED Talks」をおすすめします。TED Talksでは、登壇者が1つの専門分野に特化したスピーチをします。科学や社会学など、少し専門的なボキャブラリーを増やす手段として最適です。
好きなトピックのTED Talksをぜひ視聴してみてください。自分の興味がある内容でリスニング対策をすることで、モチベーションも維持しやすくなります。
また、TED Talksはさまざまな国出身の人が登壇するので、幅広いアクセントの英語に慣れる練習にもなります。
まとめ
本記事で紹介したリスニング対策法はどれも無料でできるものなので、ぜひ気軽に始めてみてください。1番大切なことは継続することです。毎日10分でもいいのでスケジュールを立てて、リスニング力をアップしていきましょう。
シリーズ「教えてジェイソン先生」では、実際にナショナルジオグラフィックやTEDTalksを使ったリスニング対策の感想を話し合っています。こちらから!▼