今回は、専門学校・大学で教鞭をとられ、TOEICや英検の著書も出版されている大阪のカリスマ英語講師Joyさんにお話を伺いました。英語の学習者と指導者は必見です!
目次
- 和泉有香(Joy)さんプロフィール
- 英語に触れたきっかけは何でしたか?
- 英語が趣味から本格的な勉強に変わったきっかけはありましたか?
- これまでのキャリアについて教えてください
- なぜ教育者になろうとされたんですか?
- 日本にいながら英語を習得するために、どのような学習をされましたか?
- 英語4技能を伸ばすポイントはありますか?
- どうしたらモチベーションを保ち続けることができますか?
- 生徒を英語好きにするために、どのような教育をされていますか?
- 多くの生徒を見てきた中で、英語が上達する人の特徴を教えてください。
- 日本の英語教育が目指す姿と現在の日本英語教育の現実とのギャップがあると思われますか?
- 英語の教育者は今後何をするべきだと思いますか?
- 最後に、英語学習者に熱いメッセージをお願いします!
- まとめ
和泉有香(Joy)さんプロフィール
子どもの頃から英語に興味を持ちつつも、中学1年でスタートダッシュに失敗し、完全に落ちこぼれる。中学2年で猛勉強し、一転得意科目に変えた。20歳以降は独学で英語を勉強、海外留学経験なし。劇団通訳、塾講師などを経て、現在は大阪市内の私立高校、専門学校と神戸海星女子学院大学でTOEIC対策、英語発音など、英語全般を幅広く教えている。
全日本青少年英語弁論大会審査員。日経ウーマノミクスセミナー講師(大阪、神戸、京都)。著書・共著書に『はじめての英検準1級総合対策』(アスク出版)、『TOEIC®テスト Part3&4鬼の変速リスニング』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC®L&Rテスト900点!』(アルク)などがある。TOEIC L/Rテスト990点満点、S/Wテスト400点満点、英検®️1級(優良賞受賞)、通訳案内士(英語)。宝塚歌劇と沖縄にときめく。
英語に触れたきっかけは何でしたか?
幼い頃から、なんとなく英語ってかっこいいなと思っていました。英語の勉強を始めたのは中学生で、好きだったイギリスのアイドルグループの歌を練習しているうちに英語が好きになったんです。ですから、私が英語を好きになった原点は「音楽」ですね。
英語が趣味から本格的な勉強に変わったきっかけはありましたか?
英語に本気で取り組むようになった1番の理由としては、将来食いっぱぐれのない仕事をしようと思ったからです。英語はもともと好きでしたし、一生使えるスキルだと思っていました。
これまでのキャリアについて教えてください
高校卒業後はECC高等英語専門学院に通い、そこを卒業したあとは編集の仕事を経て、英語教師として学習塾に入社しました。この学習塾に入ったことが、私が教育者になるきっかけです。学習塾を辞めたあとは、ECC外語学院の非常勤講師、ECC国際外語専門学校の講師として勤務し、その後は自分で公文式教室を開きました。
公文では、英語・数学・国語を教えなければいけなかったので、苦手な数学まで勉強し直しました。それ以降は学習塾に数年間勤めたり、劇団通訳の仕事を経験したりして、資格試験のスクールでTOEIC講座を担当するようになりました。しかし、そのスクールでは英語以外の資格試験のことも扱わなければならなかったため、英語だけをやりたいという思いから株式会社オフィス・ジョイを立ち上げました。現在は、ECC国際外語専門学校で講師と神戸海星女子学院大学で非常勤講師として働きながら、本の執筆や講演などの活動をしてます。
なぜ教育者になろうとされたんですか?
教育者になろうとした理由は、昔から教育者というものにぼんやりと憧れがあったからですね。周りの人から「先生に向いているよ」と言われていたのも理由の1つだと思います。
日本にいながら英語を習得するために、どのような学習をされましたか?
正直、英語を学習してきた年数が長く、いろいろな英語学習法を試してきたので、どれが1番効果があったのかというのはわからないんですよね。でも、強いていうなら、私が思う効果的な学習法は3つあります。1つ目は「暗唱」、2つ目は「音読」、3つ目は「多聴」です。
1.暗唱について
高校を卒業してECC高等英語専門学院に通っているときは、暗唱が授業の中心でした。ひたすら英文を読んで、聞いて、覚えて、暗唱していました。これによって、多くの英文のパターンを覚えることができたり、体に英語のリズムが自然と身についたことが効果的だったと思います。
2.音読について
正直、最初は音読の効果をあまり実感できなかったのですが、公文の教室を運営していたに公文式のドイツ語をやったことで、価値観が変わりました。公文式ではとにかくたくさん音読して、1つの教材が終わると次の教材に行くための修了テストがあります。修了テストを受ける前はドイツ語を覚えている感覚がなく、絶対に受からないわと思っていたんですけど、いざテストをしてみると書けるんです。「なんで私書けるの!?」って驚きましたが、音読するうちに無意識に覚えていたことに気がついたんです。覚えたつもりのないドイツ語が音読によって自然と身についた経験は衝撃的でした。
3.多聴について
私が20代のときはリスニング教材があまりなく、リスニングはどちらかというと苦手でした。ちょうどその頃に、友達が1年間で1,000時間の英語を聞くというアルクのヒアリングマラソンをやっている話を聞いて、私もやってみました。結局1,000時間聞くことはできませんでしたが、今思えばあの時にたくさんの英語を聞いたことがとても力になったなぁと感じます。
英語4技能を伸ばすポイントはありますか?
英語は4技能揃って英語なので、どの技能も偏らずに勉強するべきです。英語の4技能はすべて相関関係で成り立っているので「これをやればこの技能が伸びる」というのはあまりないと思います。ライティングを伸ばしたいからといって、書く練習だけひたすらしましょうという話ではないんですよね。もちろんライティングを伸ばすのには、書く練習をたくさんすることも大事ですが、たくさん読んだり、たくさん聞いたりすることもライティングに繫がります。
どうしたらモチベーションを保ち続けることができますか?
英語というのは、長い間続けないと絶対に伸びないですよね。「数週間で英語が話せるようになる」系の本があるからか、少しやれば英語ができるようになると思っている人もいますが、実際はそうではないんです。
モチベーションを高く保ち続けられる人の共通点は、2つあると思います。1つ目は、英語を勉強したいと思ったときに、どれだけ強烈な経験をしているかです。しかし、これは外的な要因が強いので、自らコントロールするのは難しいですよね。
2つ目は、小さなことに喜びを感じられるかどうかです。もし単語を覚えて、それがテストや新聞に出てきたときに素直に喜べる人は強いと思います。そのような人は小さな成功体験にでも喜びを感じられ、やってるうちにどんどん楽しさを発見できるので、伸びると思います。
生徒を英語好きにするために、どのような教育をされていますか?
生徒に小さな成功体験を積んでもらうことです。私は生徒をむやみやたらに褒めるのではなく、前できなかったことができるようになったときに褒めるようにしています。生徒は自分が成長していることを、自分自身ではあまりわからないんですね。特に発音なんかは、なかなか自分の成長に気がつきません。でも、実際は伸びているわけで、そのことをしっかり生徒に伝えて、小さな成功体験を実感できるようにしています。
あと私は、授業中にとても雑談をします。これは自分が話したいから話しているのではなく、何が生徒の心に火をつけるのかはわからないからです。火のつき方は生徒によってそれぞれなので、なるべくいろんな話をします。また、英語に興味をもってもらうことも大事ですが、Joyという人間に興味を持ってもらうことも英語を好きになってもらう1つの手段です。「なんか面白い先生がやっている英語やから、頑張ってみようかな」と思ってもらえたらいいですね。
多くの生徒を見てきた中で、英語が上達する人の特徴を教えてください。
1つは先程も言いましたが、継続力がある人です。「続ける」が難しい人は、とにかく「やめない」こと。勉強しない時期が何カ月か続いても、また始めれば「やめた」ことにはなりません!
2つ目は素直な人です。これはとても大事なことです。英語に関するセミナーや講演を各地でやる中で、必ず始めにお伝えするのが「英語は素直な人から上手くなりますよ」ということです。特に発音は、素直な人とそうでない人とでは、成長の仕方に雲泥の差が出ると思います。発音が上手くないことがわかっているのに、ネイティブの音声に近づけようとしない頑なな人は、全く上手くならないですね。英語学習を続けることができて、素直な人が、グングン上達します。
日本の英語教育が目指す姿と現在の日本英語教育の現実とのギャップがあると思われますか?
日本の英語教育といっても、誰が目指しているものなのかで全く変わってきますよね。文科省が目指す英語教育と外資系企業の社長が目指す英語教育は違うでしょ。ただ私は、大学教育前に「話す」「書く」にもっとウエイトを置かないとダメだと思います。
英語の教育者は今後何をするべきだと思いますか?
大学入試が変わることに反対の人が山ほどいますよね。おそらく反対している人は、変化についていけない人だと思うんです。生物が誕生して以来、たくさんの絶滅していった生物がいる反面、たくさんの繁栄してきた生物がいます。絶滅していった生物は、変化に対応できなかった生物たちだったと言われますよね。私たち人間も同じで、これからはグローバル化という変化についていかなければいけないと思います。
とはいえ、今までスピーキングの授業をしてこなかった先生に「今後はスピーキングの授業をしてください」と言っても無理かもしれません。でもその先生たちはリーディングやライティングで素晴らしい力をお持ちなので、その分野で思いっきり活躍すればいいと思うんです。その代わりスピーキングの授業では、現在教育者ではないけど英語が話せる方たちが加わればいいと思います。
2020年から大学入試が変わりますが、2030年ぐらいまでが過渡期になってくると思います。2030年以降は4技能が当たり前になってくるでしょう。その過渡期の間は、教育者の方たちが役割分担をして、自分が得意な技能を教えるというのも、1つの手ではないですかね。
最後に、英語学習者に熱いメッセージをお願いします!
私はよく「英語で人生変えようよ!」と言っています。現状、英語ができる人はまだ少ないので、英語ができるだけで他の人よりも頭一つ抜け出すことができるんですよね。「英語ができると人生が変わる」というのは身をもって実感しています。英語を単なる教科の一つと考えるのであったり、趣味の延長線上と考えるのもいいとは思うんですけど、それではもったいないと思うんですよね。その気になれば、本当に人生変えられるんで。
あと、女の子に言いたいのは「女がしっかり金稼げ!」ということですね。私は女子校で働いているんですけど、いつも生徒にはそういっています。「もう男に頼るな!好きな男の1人くらい、女が食わせろ!」ってね(笑)
まとめ
英語教育の第一線で活躍されているJoyさんから、多くの学びがあったと思います。Joyさんが考える英語力を伸ばす3つの勉強法は、皆さんがよくご存知の勉強法でした。英語学習には、やはり基礎的な勉強の積み重ねがとても重要だということですね。
また、今後「グローバル化」という波の中で世界と戦っていくには、まず世界とのコミュニケーション手段である「英語」を学ぶことは必然的ではないでしょうか。今回Joyさんからいただいた素晴らしいアドバイスを活かして、英語学習を頑張ってくださいね!