街づくりから人づくりへ〜英語教育にイノベーションを〜須川健太郎

国際教育事業の仕掛け人が語る、「留学」

大手教育事業会社の国際教育事業部部長として英語教育に長年携わり、現在は米国の非営利法人で留学促進活動を行っていらっしゃる須川健太郎さん。出会ったのは、筆者が学生時代にお世話になった留学奨学金の報告発表会がきっかけだった。今回はそんな国際教育事業のベテランである須川さんに、「留学と4技能試験」についてざっくばらんにお話を伺った。

須川さん

須川健太郎さん―慶應義塾大学卒業後、Yale大学MBAを所得。大手総合建設会社の米国法人ディレクターを経て、国際教育事業に10年近く携わっている。

街づくりから、人づくりへ

国際教育事業に長く携わられてきた須川さんだが、意外にもキャリアのスタートは都市開発からだった。

「もともとは街づくりを担う建築業界で、プロジェクト・マネジメントを本業に、海外事業や新規事業に関わっていました。その後、街づくりの課題解決の延長線上にあった “ひとづくり”、つまり教育に興味を持つようになったんです」と振り返る須川さん。

教育の中でも英語、グローバルの事業に携わったのは、必然というよりは偶然だったのだという。

「もともと、決められた国語・算数・理科・社会のような勉強だけでなく、リベラルアーツのようなものを教育で強調してほしかったんです。そんなリベラルアーツ学習の一環として、日本の古き良き美学や芸術のようなものを世界に発信していくにはやはり、英語やグローバルと向き合う必要があると感じました」と須川さんは語る。

留学を阻むもの

留学を促進する上で課題に直面する須川さんに、留学を阻むものはなにか、伺った。

「留学したくてもできない主な要因は、経済的理由と、自ずと身につく忍耐力を活かせていないということです。日本における従来の受験勉強は、詰め込みすぎると文句を言われる一方、『忍耐力』を徹底的に身につけることができるとも思います。教育や生活の中で「圧倒的なモチベーション」を与えれば、眠っていた忍耐力との化学反応で日本人はもっともっと英語がトクイになり、好きになるのではないかと思います。」(須川さん)

国際教育事業の仕掛け人の思う、4技能試験の可能性

留学を阻むものについてお話を伺ったが、最近ますます注目の集まる、4技能試験の普及についてはどうお考えになっているのか。英語、留学、グローバルを考え実行し続けてきた須川さんが思う、4技能試験に関する考えを伺った。

「4技能試験の導入は、留学の普及においても、日本の教育においても、やはり意義のあることです。もともと受験英語は使えないという揶揄されることもあった日本の英語教育に対して、世界に通用する英語を学ぶという新しい流れを作るという意味で、これからも注目は高まっていくのではないでしょうか。ベストティーチャーも4技能試験の対策講座に力を入れていると思いますが、これは間違いのない流れだと思います。対面から入らずまずはライティングを整理する、日本人学習者のツボを心得ていて、さすがだと思いました。」(須川さん)

 

英語教育を考えるすべてのあなたに

それでも留学は人を豊かにする

留学にたちはだかるさまざまな壁を前にしてもなお、留学には挑戦の価値がある、と須川さんは話す。

「ただ留学に行けば世界が変わるといっているのではなく、あくまでも目的を意識しながら留学することに意味があるのです。」(須川さん)

須川さんの留学における考え方は、ベストティーチャーが提唱してきた哲学とも交わる。自分が話したいこと=「自分英語」を話そうとするように、目的意識を高く持った勉強法がいちばん身につくのである。

英語教育にイノベーションを!

「英語の専門家としての意識は常にあるかもしれません。しかし、専門性は尊重しつつ、教育者だからこそアンテナを広く張ってほしいです。英語教育を進化させるなら、まずは英語教育以外にも目を向けてみることです。イノベーションを起こすには違う業界・人・ITや技術との出会いが必要なのですから。教育にイノベーションを起こしていきましょう。」

英語教育に吹く、新しい風

既存のものにとらわれない、という須川さんのスタンスは、英語教育事業の中でも発揮されていく。今までやっていなかったからこそ挑戦する意義がある。どんな形であれ、外に目を向けることで、学生自身の可能性が開ける。留学はその可能性のひとつなのだ、と話す須川さんは、情熱にあふれていた。

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