「話すこと」のパートについては、「総合的に活用して思考・判断・表現する力」として、以下のイメージが示されています。
・身近な話題について、与えられた質問に対して、自分の考えや気持ちなどを話して相手に伝える力(聞いたり読んだりして得た情報について話して伝える技能統合型〈2技能以上を統合的に活用〉の出題を含む)
特に現在課題とされている即興での質疑応答などにおいて話す力が重視されます。
問題例
予備調査では大問が3題出題されました。
大問1は、示された絵の内容に関連する簡単な質問(「時計は何時を示していますか?」「こどもは何人いますか?」「何をしていますか?」)に口頭で答える問題です。
「聞くこと」と「話すこと」の両方が問われる問題
続く大問2は、2人の登場人物の会話を聞いて、その内容に基づいた質問に答える問題です。
大問2
あなたは、ナオミ(N)と、イギリスから来たリチャード先生(R)の3人で話をしています。まず、ナオミとリチャード先生が、2人で話している場面から始まります。その後、あなたが尋ねられたら、2人のやり取りの内容を踏まえて、英語で応じてください。解答時間は20秒です。
R: I want to visit three countries: the U.S., Australia, and China.
N: Why do you want to go to the U.S.?
R: Because I want to see a baseball game there. I’m interested in baseball.
N: I see.
R: And I want to go to Australia again.
N: When did you go?
R: Two years ago. It was a lot of fun.
N: Oh, I want to visit Australia.
R: Great! (2人があなたの方を見る)
N: Well, do you have any other questions for him?
《解答例》Why do you want to go to China?
この問題では、「聞くこと」と「話すこと」の両方が問われています。
まとまった内容の説明が求められる問題
大問3
あなたは英語の授業で、シンガポールの姉妹校の生徒と、テレビ電話でお互いの学校を英語で紹介することになりました。1分間、自分の学校について紹介する内容を考えた後、30秒で紹介します。画面にある例を参考にしてください。これらの内容以外のことや、一部だけについて紹介しても構いません。それでは、1分間、内容を考えましょう。
《紹介する内容の例》
●学校のある場所や地域
●部活動
●学校行事
●先生や生徒 など( ※これら以外のことや、一部だけを紹介してもよい。)
《解答例》I’ll tell you about the club activities at our school. We have many kinds of clubs because our school has about 800 students. I’m on the baseball team. Our team is very strong. Do you have club activities? Please tell us about them.
このように、「話すこと」においても統合的な力や、必要な情報を収集する力、短時間で相手の求めに応じられる即応力や柔軟性といった幅広いコミュニケーション力がポイントとなります。
連載まとめ
5回にわたって、英語の全国学力調査「予備調査」からうかがえる変化について見てきました。今回の分析を通して、新たな英語の「全国学力調査」では下図のように、英語情報の処理と運用の能力が総合的に問われることがわかります。(試験は各技能別に分かれていますが、目的は言葉の総合的な運用能力の測定ですから、しばしば複数の技能を統合した問題も出題されるわけです)
また、「思考力」は英語力というよりも、日本語による思考力がベースとして必要になるでしょう。英語の力だけでは十分ではないということです。
第1回でも述べたように、この予備調査は本番に向けてどのような課題があるのかを知るために実施したものですから、今回の結果から様々な修正が今後加えられていくことになります。
とはいえ、この「全国学力調査」に限らず、新しい大学入試のための試験である「大学入学共通テスト」でも「実用性」や「日常性」の重視という共通する方向性が示されているように、今回の調査で見られた英語教育改革の考え方に大きな変更はないと思われます。
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