英検®️3級のレベルとは
多くの中高生にとって、英語の検定試験といえばまず「英検」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。現在、中高生は全国で約650万人(2018年度)いますが、中高生の英検志願者はのべ280万人あまり(2017年度)で、これは全生徒の43%に相当します。(志願者数は延べですので、実際に43%の中高生が英検を志願しているわけではありませんが…)
さまざまなレベルがある英検の中でも、英検3級はCEFRレベルのA1(最も基礎的なレベル)に設定されていて、新しい大学入試の英語においても最低限の到達レベルとなっています。したがって英検3級は、英語学習において実力を確認する最初の客観的なステップといえるでしょう。
そこで初めて英語の検定試験を受検する方に、英検3級を例にとって、受検に向けてどのような準備が必要になるのかご紹介します。
英語力の土台は「語彙力」
多くの英語検定試験では、Reading、Listening、Writing、Speakingの4技能の試験が課されます。それは、英検3級でも同様です。それゆえ英検3級を受験する人も、英語4技能ごとの対策を考えることが多いようです。しかし、その前に考えていただきたいことがあります。それは、すべての英語技能の土台として「語彙力」が必要だということです。
言葉は複数の語が組み合わさって句や文となり、あるいは複数の文がひとかたまりの文章となって、具体的な意味内容を正確に表すことができるものです。とはいえ、句にしろ文にしろ、それらはすべてひとつひとつの語を組み合わせてできるのですから、言葉の最小単位は語に違いありません。
どんな複雑なブロックの作品も、ひとつひとつのブロックなしにはできないのと同じです。どれくらい多くのブロックをもっているのか、あるいはどれくらい多様なブロックの使い方を知っているかで、形にすることができる作品が左右されるのと同じように、多くの語彙とその使い方に習熟することが英語力を高めるのです。このように、特に基礎作りである入門期では語彙学習を重視することがポイントになります。
英語力を高める上で語彙を増やすことが重要とはいえ、語彙を増やすのはこれまでも英語を学習する人にとって最もしんどい課題でした。語彙を覚える作業はともすれば単調で、また覚えたつもりでもいつか忘れてしまうことが多いからです。このように厳しい課題を達成する上で重要になってくることは、到達目標を明確にすることと達成方法を工夫することです。達成可能でクリアな目標でなければ気持ちが続きませんし、効果が期待できない方法では覚えることに集中できないからです。
そこでこの「英検®️3級に挑む皆さんへ」コラムでは、「何を(第1回)」「どこまで(第2回)」「どのように(第3回)」学習するのが効果的なのかということについて、学校の英語学習でどこまでカバーできるのかという視点も含めて考えてみます。
「何を」覚えるのか
日本英語検定協会のホームページでは、「3級のレベルは中学卒業程度。身近な英語を理解し、使用できることが求められる」と、そのレベルを説明しています。しかしこの説明だけでは、「何を」「どこまで」準備する必要があるのかはよくわかりません。そこで「中学卒業程度」という言葉を手掛かりにして、もう少し具体的な内容を探ってみます。
英検®️3級に必要な語彙力
中学校で学習する英語の内容を定めているのが、文部科学省が作成する「学習指導要領」です。この「学習指導要領(中学校)」では、中学3年間を通じて学ぶ英語について、目標は初歩的な英語を習得する(聞く・話す・読む・書く)ことで、内容としては次に示すような言語の使用場面や言語の働きを取り上げるとしています。
言語の使用場面の例
使用場面 | 具体的な状況の例 |
---|---|
特有の表現がよく使われる場面 | あいさつ、自己紹介、電話での応答、買物、道案内、旅行、食事など |
生徒の身近な暮らしにかかわる場面 | 家庭での生活、学校での学習や活動、地域の行事など |
言語の働きの例
言語の働き | 具体的な言動の例 |
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コミュニケーションを円滑にする | 呼び掛ける、相づちをうつ、聞き直す、繰り返すなど |
気持ちを伝える | 礼を言う、苦情を言う、褒める、謝るなど |
情報を伝える | 説明する、報告する、発表する、描写するなど |
考えや意図を伝える | 申し出る、約束する、意見を言う、賛成する、反対する、承諾する、断るなど |
相手の行動を促す | 質問する、依頼する、招待するなど |
「学習指導要領」では、言語材料として以下を取り上げると定めています。
■1,200語程度の語
■”in front of”、”a lot of”、”get up”、”look for”などの連語
■”excuse me”、”I see”、”I’m sorry”、”thank you”、”you’re welcome”、”for example”などの慣用表現や基本的な文法事項
中学校の英語では上表のような日常的で具体的な状況や言動の際に使われる基本的な1,200語程度の語や連語、慣用表現を学ぶとともに、その際に必要となる基本的な文法事項を習得することが目標になっていることがわかります。
なお習得する語数については、高校卒業までに3,000語程度習得することになります。また「学習指導要領」については、中学校では2021年度から、高校では2022年度から新しい要領に変わることになっていて、そこでは中学で1,600~1,800語、高校では4,000~5,000語の習得が目標となっています。
英検3級の2次試験では、面接が英語で行われるため、自分で英文を組み立てて回答するスキルが必要になります。自分の言葉で英語を話せる語彙力をつけるためには、約1,200語の単語や基本的な文法を使いこなせるようになりましょう。
次回予告
英語力を磨くためには語彙力を上げること、日常で使う英単語を覚えなければならないことがわかりました。第2回では、名詞、形容詞など品詞別の出題傾向について見ていきます。続きは以下をクリック!▼
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