従来のセンター試験の「英語」は受験英語が中心でしたが、共通テストの「英語」は英語民間4技能試験と近い実用英語が中心の試験となりました。今後は、実用的な英語力を測る英語民間4技能試験の経験が、共通テスト対策として役立つでしょう。
上記を踏まえた上で、本記事では共通テスト(2021年1月実施)の「英語」の特徴や、センター試験と共通テストの違いをまとめました。大学受験を考えている方は必見です!
目次
【これまでの動きのまとめ】共通テストと英語民間4技能試験
1990年から31年間続いてきた「大学入試センター試験」は、2021年1月実施から新しい「大学入学共通テスト」に変わりました。当初はこの移行にともない、英語民間4技能試験の結果を共通テストの「英語」(2技能)の成績とともに活用する予定でした。
しかし共通テスト実施の約1年前になって、2021年1月実施の大学入学共通テストにおける英語4技能試験活用の延期が急遽決まりました。そして2021年4月には、新しい学習指導要領にもとづく入試が始まる2025年以降も民間英語4技能試験を共通テストでは活用しない見通しとなったことが報道されました。なお、正式な決定は今夏になるようです。(2021年6月現在)
共通テスト(2021年1月実施)の「英語」
当初、共通テストでは「英語」の試験を実施しない予定でした。英語民間4技能試験を活用できるのであれば、共通テストとして2技能に限られる「英語」の試験は必要なかったからです。
しかし私立大学からは、受験生の負担が大きい英語民間4技能試験の結果よりも、共通テストの「英語」の試験結果を使って受験生の合否を判断したいとの要望が強くありました。この要望に応える形で、共通テストの「英語」を残しながら英語民間4技能試験も取り入れることになりました。
その結果、文法と語彙の問題(ライティング・スピーキングテスト的な要素を含む問題)を無くしたリーディングとリスニングが共通テストの「英語」として残ったのです。数年後には「英語」の試験は無くし、英語民間4技能試験のみを判断材料にする心づもりでした。
ところが、その後英語民間4技能試験の活用の延期が決まったため、2021年1月実施の共通テストでは文法と語彙の問題がなくなった「英語」の試験だけが実施されることになってしまったわけです。
従来のセンター試験の「英語」は、文法などが問われる受験英語が中心でした。しかし共通テストの「英語」は英語民間4技能試験と近い考え方で作られているので、コミュニケーションを取る相手がいることが前提の実用英語が中心の試験となりました。
2025年以降の共通テストで英語民間4技能試験が活用されないとなると、今後も共通テストの「英語」は実用英語が中心となることが予想されます。共通テストの「英語」問題は今後どのようなものになるのでしょうか。
センター試験と共通テストの違い
ここからはセンター試験と共通テストの「英語」違いを比較していきます。以下で主な違いを表にまとめました。
センター試験 | 共通テスト | |
試験の名称 | 「英語(筆記)」「英語(リスニング)」 | 「英語(リーディング)」「英語(リスニング)」 |
問題文 | 日本語 | すべて英語 |
リーディング問題の特徴 | 【受験英語】 説明文・解説文など堅めの内容の文章が中心。 発音・アクセント・語句整序など、英文法知識も単体で問われる。 | 【実用英語】 メール・広告などの日常的素材から資料・論説文まで、バラエティーに富んだ英文が出題される。 会話・図表・イラストなど、情報処理能力も問われる。 |
リーディング配点(試験時間) | 200点(80分) | 100点(80分) |
リスニング問題の特徴 | すべての問題は2回読み上げられる。読み上げは、原則アメリカ英語。 | 読み上げ回数が1回だけの問題もある。イギリス・アメリカ英語とそれ以外の話者による英語の読み上げ。 |
リスニング配点(試験時間) | 50点(60分) | 100点(60分) |
共通テストの「英語」の特徴
・より実践を見据えた英語力を図るようになった。
・リーディングとリスニングの配点の割合が4:1から1:1になった。(4技能を等しく評価する観点から)
・リーディングは総単語数が約1,000語増加したが、拾い読みすれば容易に解答が見つかる問題が増えた。
・リスニングは1回で聞き取らなければならない問題があり、正確なリスニング力が問われる。
・必要な情報を素早く探し出す力を問う問題が多くなった。
・英文の形式や内容が多様になった。
・選択肢を並び替える問題、1問中で複数の空所にそれぞれ当てはまるものを選ぶ問題など、より正確な理解を問われる出題形式がやや増加した。(情報処理力)
これからの共通テスト対策のポイント
今までのセンター試験では受験英語が中心でしたが、共通テストではコミュニケーション能力や情報処理能力が問われる実用英語が中心となります。英語民間4技能試験も、実用英語力を測るための試験です。
つまり、英語民間4技能試験と共通テストとが同じ方向を向き始めた、ということになります。英語民間4技能試験を経験すれば、同時に共通テストの練習になるということです。
受験勉強をする際、1番有効なツールは過去問です。しかし、共通テストには過去問が充分にありません。過去問不足を解決するために、似たような問題が出る英語民間4技能試験を有効活用できます。
大学入試全体で英語民間4技能試験利用は増えている
ここまで共通テストと英語民間4技能試験の関係を解説してきました。入試全体では英語民間4技能試験の級やスコアを利用できる(あるいは必ず必要となる)大学は年々増加しています。
英語民間4技能試験の対策をすることで、共通テストに向けた英語力アップを図ることはもちろん、多くの大学への出願条件もクリアすることにつながるのです。
▼英検®︎に関して入試優遇制度のある大学をまとめた記事はこちら
まとめ
大学入試共通テストの英語民間4技能試験活用の今までの動きはおさらいできましたか?共通テストに関しては色々ありましたが、英語民間4技能試験と共通テストは問題の質が似ているので、英語民間4技能試験対策をすることで共通テスト対策につながることがわかりましたね。
大学受験を考えている中高生の皆さんはぜひ、早いうちから英語民間4技能試験に慣れておくといいですね。
次回からは実際の共通テストの問題と英語民間4技能試験の問題を比較して、どのようなポイントに気をつけて勉強を進めていけばよいかなどを解説します。
▼第1回はこちら!
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。