授業は全部英語で。オールイングリッシュの授業に、あなたは賛成?

英語教育において、日本語を一切使わずに英語のみで教える「オールイングリッシュ」という教育方法があります。英語で聞き、英語で読み、英語で質問し、英語で書く。文科省の要請により、日本の学校教育においても徐々に「英語で教える」英語授業へと変化しつつありますが、実際のところ効果はあるのでしょうか。賛否両論があるオールイングリッシュについて議論していきたいと思います。末尾にはご意見募集フォームがありますので、ぜひ皆様の声をお聞かせください!

高校では既にオールイングリッシュ?

政府の決まり(*1)によれば、高校の英語教育は全て「英語で」行われることになっていることを知っていましたか?現行の学習指導要領には、以下のように記載されています。

*1: 「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」2013文科省

生徒が英語に触れる機会を充実するとともに、授業を実際のコミュニケーションの場面とするため、生徒の理解の程度に応じて、授業は英語で行うことを基本とする。その際、生徒の理解の程度に応じた英語を用いるよう十分配慮するものとする

これまで日本で長く続いてきた読み書き重視の英語教育とは違い、授業を「実際のコミュニケーションの場面」と捉え、英語の授業は原則英語のみで行われることになっています。英語のみの授業については、高校では平成23年以降に全面的な実施を、また中学では平成30年以降実施していくことになっていますが、実際にはどれくらいの学校がオールイングリッシュを実施しているのでしょうか?

実際にはどれくらいの学校がオールイングリッシュ?

文部科学省による「英語教育実施状況調査(H25)」によると、「発話をおおむね英語で行っている」又は「発話の半分以上を英語で行っている」教員の割合が以下のように示されています。

確かに、中学3年生と比較して、実施要求の強い高校の方が英語による授業の割合が高いようですね。

これからは中学英語もオールイングリッシュ化へ?

これからは中学の英語の授業もオールイングリッシュ化するという方向性が示されています。英語を学び始めたばかりなのに、オールイングリッシュの授業は不安では?と思ってしまいますが、これを勧める提言の中には以下のような説明があります。

現在、高等学校では、授業を英語で行うことを基本としているところであり、中学校と高校の学びを円滑につなげる観点から、中学校においても、授業を英語で行うことを基本とすることが適当である。 

参照:今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言〜

高校では既に(原則)オールイングリッシュなのだから、中学でも早くからオールイングリッシュに適応し、高校からの学習に準備すべきだ、ということですね。少々こじつけに聞こえる説明ですが、この流れは勢いを増しています。

賛否両論のオールイングリッシュ

学校教育におけるオールイングリッシュの授業には、賛否両論があると思います。例えば、以下のような意見が予想されます。

賛成

・英語4技能習得に役立つ。

・コミュニケーション能力を向上させる。

・教師側も英会話への意識を高めるようになり、その中で努力する優秀な教師だけが残るようになる。

・日本人の弱点である発音が鍛えられる。

反対

・英語が不得意な生徒の苦手意識が、さらに高まってしまう。

・文法などは日本語で教えた方が効率が良い。

・教師側の英語力が追いつかない場合、不適切な英会話が繰り広げられる。

・生徒が積極的に会話しようとする意識を高めなくては意味がない。

オールイングリッシュの授業は英語に触れる量を増やせるという点で、うまくいけば生徒の英語力を格段に伸ばすことができる手段だと思います。一方で、それがうまく機能するためには生徒の基礎的な英語力と積極性が不可欠という意見も説得力があります。そもそも英語で積極的に発言するようになるには、英語以外の授業でも積極性を身につけなければならないでしょう。オールイングリッシュよりも前に、まずは全ての授業で自由に発言し、議論をできるようなスタイルへと教育全体が変わらなければならないという見方もあります。皆さんはどうお考えですか?

《あなたはオールイングリッシュの授業についてどのようにお考えですか?4skillsでは皆様のご意見をお待ちしております。》

※読者アンケートの募集は終了しました。ご参加いただきありがとうございました。

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