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山本 誠 プロフィール
・1987年 東京大学大学院工学系研究科博士過程 単位取得退学
・1987年 石川島播磨重工業株式会社(現IHI) 入社
・1990年 東京理科大学 工学部第一部 講師
・2004年 同 教授
・2009年 同 工学部第一部学部長(兼 工学研究科長)
・2014年 同 副学長
専門分野: 数値流体工学
英語教育の考え方
-東京理科大学での英語教育に対しての考え方について教えてください。
「社会に出るときに、理系の学生が活躍する上で困らないような英語能力をつけてあげたい」
主に、リーディングを含む4技能が身につくような授業展開を行っています。グローバル化が進む中、これらの能力は国際社会で活躍するためには必要不可欠になっています。
4技能試験を活用した試験の概要
-どのように4技能試験を東京理科大学では、利用していますか?
経営学部ビジネスエコノミクス学科の「グローバル方式入学試験」の出願資格として利用しています。「グローバル方式入学試験」は昨年初めて実施し、2技能(リーディングとリスニング)を出願資格として利用しました。
-英語試験はハードルが高いと感じる人は?
現在は、経営学部ビジネスエコノミクス学科のグローバル方式入学試験のみで活用していますが、今後は他学部の入試でも導入することを検討しています。中学・高校での英語教育のレベルに合わせて、徐々に2技能から4技能に移行させることで、ハードルの高さに対する恐れをなくしていきたいと思っています。
留学する学生を増やしたい
-大学在学中に留学に行く学生はどのぐらいいますか?
残念ながら、現段階では留学をする学生はあまり多くありません。ただ、東京理科大学は大学院への進学率が約50%と非常に高いのが特長で、留学ではないのですが、1700人ほどいる院生のうち約400人は、国際学会に参加します。そこでは、英語の読み・聞きの能力だけではなく、話す・書く能力も必要となります。さらに、理系の学生は文献や論文を英語で読んだり書いたりする必要があり、留学をしなくても必然的に英語を学ぶことになります。
4技能を活用した学生たちへ
留学への期待
試験利用入学者にはどういう学生生活を送ってほしいですか?
英語に対する意識の高い学生には、留学を勧めたいです。東京理科大学には、夏期休暇を利用した短期留学から、カリフォルニア州立大学への1年間留学など様々なプログラムを用意しています。単位の互換制度もありますので、多くの学生に利用してほしいと思っています。また、英語に対する意識の高い学生がいることで、まわりの学生の留学や英語に対する意識が高まる効果があるのではないかと考えています。
東京理科大学で、4技能活用したらどのような利点が?
理系の学生は理科・数学の勉強に集中してしまう傾向があり、英語に対して苦手意識を持っている人が多いと思います。そんな中で、4技能試験を活用した学生は、英語に対する意識が高く、多くの可能性を秘めていると思います。
留学をする機会や国際学会へ参加する機会も増え、充実した学生生活を送ることができるのではないでしょうか。
英語4技能についての考え
文系に比べ、理系は英語が必要ないと思われがちですが、私は理系こそ英語、特に4技能が必要だと思っています。理系の学生は、先ほど述べたように、国際学会などで英語で研究発表をしたり、質疑応答に応えたりしなければなければいけません。また研究を進める上でも、世界の研究者とコミュニケーションをとることが必要になります。今後、英語における4技能は重要な役割を果たすのではないかと考えていますね。
-日本の中高における英語教育に対して何か思いはありますか?
中学・高校で6年かけて英語を勉強しているにもかかわらず、苦手意識を持っている学生が多いと感じています。また1番必要な話す能力にかける時間が足りていないと思います。話す能力・文章を書く能力を身につけられる教育を6年間で養えるようなシステムが必要なのではないでしょうか。
理系を目指す高校生には、4技能の必要性をもっと周知していただきたいです。そしてグローバル化に対応するため、日本全体で英語に対する意識を上げていかなければならないと思っています。
山本先生とのインタビューを終えて
「理系には英語はあまり必要じゃない」「英語は文系科目だ」という印象を強く持っていましたが、今回のインタビューで理系での英語の必要性を痛感しました。2020年のオリンピックを始め、英語力がなければ活躍できない社会になりつつあります。そんな社会でも活躍できるような手助けを大学で、もしくは大学受験から行っていけるのではないでしょうか。「人生の夏休み」とも言われている大学生活を上手く活用できるような対策について、これからも注目していきたいです。