【高校の英語が変わる】第2回〜英語教育はどう変わるのか〜

第1回では、これから始まろうとしている教育改革が従来とは違って広い範囲で大幅な変化を目指していることや、改革の実効性を高めるために大学入試とも関連づけて一体的に改革しようとしていることをご説明しました。

第2回では、このような改革の中で英語教育がどう変化するのかを見ていきます。

第2回:英語教育はどう変わるのか

学校段階別の英語教育の内容

第1回で触れた「新学習指導要領」では、小学校から高校までに学ぶ英語の内容について、下図のように定められています。

現在に比べて新課程では、小学校の「外国語活動」(正式な教科ではなく、成績評価をともなわない教科外活動)が3・4年生に早まり、5・6年生は新たに設置される教科「外国語(英語)」を履修することになります。

また、それにともない中学校や高校の英語の学習内容も変わることになります。英語については、すべての学校段階を通じて「コミュニケーションを図る力」をつけることが目標となりますが、小学校では「素地・基礎の育成」、中学校では「4技能の育成」、そして高校では「4技能統合型のコミュニケーション能力」、特に「発信力」の強化が目指されます。

英語教育で、どのような変化が考えられるか

学習指導要領をまとめた文科省は、今回の改訂はこれまで十分にできなかった指導を充実させる(特に、英語に慣れ親しむ時間を増やす)ことが目的であり、単純に教育開始期間を繰り上げる意図はなく、直ちに学習内容の増加を予定していないと説明しますが、たとえば下図にあるとおり、小学校から高校までに習得すべき英語の単語数(目安となる指針)は明らかに増加しています。

<習得英語単語数>

また、現在は中学校から始まる文法や構文に関する知識の指導や英語の表記法の体系的な習得などは小学校では目標としないとしていますが、ひとつの教科として成績評価をするためには、一定の客観的な指標(習得すべき知識)が決まっていなければ、逆に混乱を招くことになります。

さらに、近年私立中学の入試で英語が課される傾向が強まっていますが、入試の公平性を担保するためには、客観的な知識や技能の量による比較がなおさら重要になります。このように、文科省の意図とは別の理由で、この方針が変わっていく可能性があると言わざるをえません。

今回のまとめ

今回は、小学校から高校までの英語教育が全体として前倒しになり、量的にも現在より多くの内容を学習することになる可能性があることについてお話ししました。次回は、その結果として高校の英語教育が具体的にどう変化するのかについて考えてみます。

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