連載:今さら聞けない、英語4技能って何?
第3回: グローバル化により第二の開国が始まった
明治維新が契機となって大きく変わった日本人と外国との関係。その関係には、その後も約100年にわたって大きな変化がありませんでした。普通の日本人が外国に行けるようになったのは第二次大戦が終わって25年も過ぎた、1970年代以降のことです(*1)。
*1 1971年に日本人の年間海外渡航者が初めて100万人を突破した。
さらに1980年代後半からは、これまでにない好景気が続いた「バブル景気」を迎え、日本人の海外渡航は一気に増加しました(*2)。
*2 1986年から1991年までの5年間で約2倍の1,000万人台になった。
その後も海外へ渡航する日本人は増加を続けていて、現在は年間1,800万人前後となっています。また、日本を訪れる外国人も2011年以降急増しており、現在は年間2,000万人を突破しています。江戸時代末期の「開国」に次ぐ、いわば「第二の開国」が始まったのです。このように、日本人の出国、外国人の入国が多くなると、日本人と外国語の関係も大きく変化してきます。これまでのように決して一部の人間だけが関わることではなくなってきているのです。
人の往来が活発になる変化とともに、さらに「グローバル化」や「ITの普及」の影響が加わります。特にモノやお金が国境を越えて盛んに行き来する経済のグローバル化の影響は、私たちの日々の生活に浸透してきています。これまでは距離が遠いとか費用がかかるということでその影響は小さいものでしたが、今やインターネットをはじめとするIT技術が急速に進歩して、また多くの人がそれを使える環境となったことで、その影響はすべての日本人に及ぶようになってきています。
毎日のニュースを見ているとよくわかりますが、どこかの国で起きた事件が日本の株式や金融にすぐ影響を及ぼすなど、今日の世界は常にワールドワイドの幅の中で日々変化していますし、一人ひとりの国民もその影響から無関係でいることはできなくなっています。ここに新たな国家の課題として、外国語を操る力を国民レベルで育成するという新しいテーマが浮上してきます。