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英語4技能への取組事例インタビュー

目白大学 柴田真一の提言「本当に海外で活躍するための英語力は、資格試験だけでは身につかない!」

2015.11.10

本日は、長年にわたり海外ビジネスの最前線で活躍されていた目白大学外国語学部英米語学科長の柴田真一先生に、本当に海外で活躍するために必要な英語力について伺っていきます。英語資格試験のスコアが就職活動・転職活動、そして社内昇進の条件としても広く使われるようになってきているこの時期に、柴田先生ご自身のキャリアを振り返っていただきながら「本当に世界で通じる英語力」について語っていただきます。

柴田真一 先生

 

柴田 真一(しばた しんいち)先生

◯ 目白大学 外国語学部 英米語学科長・教授
◯ NHKラジオ「入門ビジネス英語」講師

上智大学外国語学部を卒業後、現みずほ銀行の銀行員としてドイツに5年、英国ロンドンに15年勤務。ロンドンでは現地法人のExecutive Directorを務めた。2004年に執筆した『金融英語入門』(東洋経済新報社)をきっかけに、ビジネス英語に関する公演・執筆活動を本格的に開始。2012年より目白大学の教授に就任。

他にも『基礎からの英語eメール仕事術』(コスモピア)・『図解式 金融英語の基礎知識』(DHC)・『ダボス会議で聞く英語の世界』(共著、コスモピア)など著書多数。

国際ビジネスの現場から一転し、教育の世界へと身を移した柴田先生は、どのように日本の英語教育について考えられているのでしょうか。単に英語が話せればいいというわけではない。「グローバル社会における日本人の存在価値」という観点から、今後ますます求められる「本物の英語力」についてお話をうかがいます。

 

目白大学 柴田真一の提言
「本当に海外で活躍するための英語力は、資格試験だけでは身につかない!」


1. 国際ビジネスの現場で求められるコミュニーケーション能力
2. 海外で活躍するための英語力
3. 日本の英語教育はどう変わるべきか

1. 国際ビジネスの現場で求められるコミュニケーション能力

① 発信力でひけをとってしまう日本人

ドイツでの5年、ロンドンでの15年の勤務を通じて、日本人は実力があるのに割を食っていると感じたことが何度もありました。特にロンドンの職場は20ヵ国以上の国籍の人が集まっていて、英語ネイティブの人もいればそうでない人もたくさんいました。ネイティブはもちろんですが、ノンネイティブのヨーロッパ系の人々も、自分の意見を発信し続けるパワーを持っているわけですよね。一方でわれわれ日本人はどうしても言葉足らずになってしまって、自分たちの意図が十分伝えられなかったと感じることが多々ありました。

ミーティングの場などでは意見が飛び交っているなかで、どこかでタイミングを見つけて発言しないといけません。ただ私たちは入り方がわからなくて、発言しそびれてしまう。そして発言しそびれてしまっているうちに、話題が変わってしまう。こういったことが続くと、日本人の社員にとってはフラストレーションがたまっていくんですよね(笑) そういう意味で、会社組織における日本人の存在意義を高めるにはどうしたらいいかをいつも考えていました。

② 相手の立場を理解し、お互いに最善な着地点を模索する力

また、これは日本の会社の宿命ですが、日本の本社の考え方と、現地での考え方が大きく乖離してしまうことがあるわけです。そんな時に、本社の意向を伝えて説得するのが駐在員の役目です。でもあまり本社の側に立ちすぎると、”He is a spy.”と冗談半分・本気半分で言われてしまうわけです。そうすると、社内で不信感が生まれる可能性が出てきてしまいます。一方であまり現地の側に立ち過ぎていては、駐在員の役目を果たせません。そのギャップをどう埋めるのかという作業を日々していく中で、やっぱりコミュニケーション能力が大切なんだということが分かってきましたね。

ここでいうコミュニケーション能力とは単なる英語の運用能力を指すのではありません。相手の立場を十分に理解した上で、互いに最善の折衝案を模索できるかということです。日本人がグローバル社会でパフォーマンスを上げていくためには、英語力だけではなくこのような能力も同時に育んでいくことが重要ですね。

③ 英語資格試験の結果は単なる目安でしかない

最近では「資格試験の点数を上げるための英語勉強法」が流行っていたり、もしくは「英語資格試験で高得点を取ることはすごいことだ」ということが社会的に広く認知されているように思います。しかしこれでは本末転倒ですね。自分が英語を勉強することには目的があって、英語資格試験はその目的の達成度を測る単なる目安でしかありません。「英語資格試験で高得点を取ること」を目的にした英語学習で得られた英語力やテクニックは、その人が海外で活躍できるようになるための英語力とイコールではありません。

余談ですが、私がイギリスでTOEICを受けた時、試験官が「この会場の中で日本人じゃない人は手を挙げて」と言っていたのをよく覚えています。実際、会場にいる受験者のほとんどが日本人でした。つまり、日本人の多くが世界標準とはいえないTOEICを必死に勉強しているのです。率直に言って、TOEICは自分が必要とされる一定のレベルに達すればそれで十分だと思います。例えば900点を達成した方が、さらに50点アップを目指して学習し、試験を受け続けることにどれほどの意味があるでしょうか。100点満点に換算すればたったの5点ですよ。英語を学ぶということには、試験で高得点を取るということよりももっと重要な意味があるはずです。

 

2. 海外で活躍するための英語力

① Plain English / Japanese Englishでも構わない

「ネイティブ信仰」が多くの日本人の英語学習者に蔓延しているように思えます。常に高度な語彙・文法表現を使ったほうがいいだとか、発音はなるべくアメリカ・カナダ・イギリスのものを学ばないといけないとか、そういう強迫観念があるのです。英語を専門に学習したり、英語教師や通訳などの英語のプロを目指したりする場合は別ですが、ネイティブ・ノンネイティブ間、あるいはノンネイティブ同士のコミュニケーション・ツールとしての英語と考えたらどうでしょう。確かに正しく美しい英語であるにこしたことはありません。しかしもっと重要なのは、相手の意図をしっかり理解し、自分の意図を相手にしっかり伝えることではないでしょうか。

実は世界レベルで英語の話者の内訳を見てみると、ネイティブよりもノンネイティブのほうが遥かに多いのです。ネイティブスピーカーの方が少数派というこの現状を鑑みると、北米やイギリス流の発音・イントネーション・表現に固執する必要は全くありません。そういうことよりも、相手がどこの人であろうと、簡潔な英語で相手に誤解を与えることなく自分の意図を伝えられるかどうかが今後は大事になってきます。

私は英語で講演をする時、相手が日本人であるよりも外国人の方が安心することすらあります。というのも、外国人は私の発言の中身を聞いてくれますが、日本人の場合は私の話す英語の語彙・文法・発音などに注意が向かってしまうことがあるからです。話す方も聞く方も、正しい英語という呪縛から解放されて、話の中身により注意を向けるようにしたらお互い気持ちが楽になるのではないかと思います。

② 「お互いが学ぶ」という姿勢

実は最近、ネイティブの人々の中でも意識変化が起きてきています。会議などの場においてノンネイティブの人が発言内容を理解できないなどという事態が起きた場合、それはそのノンネイティブの人の英語力に問題があるのではなく、ネイティブ側の話し方や会議の進め方に問題があるのだという認識が広まってきているのです。

Communication for International Business

こちらは”Communication for International Business”という本の1ページです。ネイティブスピーカーたちが気をつけるべき事柄が紹介されています。例えば1つ目は”Slow down and stay slowed down”とあり、ネイティブスピーカーたちに早口を戒めています。

このように最近では、ネイティブの人たちもノンネイティブに歩み寄ろうという姿勢を示しています。ですので、単に英語力が高いという理由だけで海外で活躍できるということはますますなくなってきているのです。では、グローバル社会で活躍できる人の素養とは、一体なんなのでしょうか?

③ 最終的には人間的総合力

グローバル社会で活躍できる人の素養というのは、簡単に言うと「ナメられない」ということです。英語は多少苦手でも、外国人に比べて口数が少なくとも、一目置かれているというのが大切な素養です。つまり、最終的には人間としての総合力が大事なのです。幅広い知識を持っていて「あの人と話していると面白いな」とか、鋭い洞察力を持っていて「あの人の意見を参考にしてみよう」とか、あるいは業務に関して圧倒的な知識・経験を持っていて「あの人に聞けば何か情報が得られるかもしれない」と頼られるような存在。ある程度の英語力を培った後は、そういう人間的総合力がその人の存在価値を決めるのです。英語が圧倒的に上手でも「こいつはたいしたことない、組しやすくてeasyだな」と思われては残念ですね。

3. 日本の英語教育はどう変わるべきか

① 4技能を意識した指導がより求められる

とはいえ、やはりグローバル社会で活躍するためにはある程度の英語力は必要です。最近は大学入試において英語4技能試験を導入している学校が増えてきていますが、私はこれは良い傾向だと考えています。4技能をバランス良く測定する仕組みがあると、より実践で使える英語力を養うことができると考えています。

英語の4技能は互いにリンクしていて不可分ではあるにしても、やはりそのベースとなるのはリーディングとライティングだと考えています。例えばBBCニュースを見て理解ができないとしたら、そのスクリプトを読んで理解できるかどうか確認するべきです。じっくり読んでも分からないことは、ネイティブが話すスピードで聞いて理解できるはずがないからです。同様に、ライティングはスピーキングの土台です。ゆっくり時間をかけても書けないことは、プレゼンやディスカッションの場でスラスラ言えません。4技能を勉強している皆さんだけでなく、4技能を指導している先生方にも、この点を意識していただけたらと思います。

② 目的を意識させた英語教育

教員は学生に英語を学ぶ目的を意識させることが重要だと思います。その目的は学生それぞれで構いません。「将来は英語を使った職業に就きたいから」とか、「英文学を原文で読んでみたいから」という動機があれば、勉強していくうちに目的は具体的になっていくでしょう。私も学生の知的好奇心を刺激するような授業を心がけています。

そうすることで、学生たちは自発的に学ぶようになってきますし、中身のある英語力が身につきます。英語が円滑に運用できても、話す・書く内容に中身がないというのは本当にもったいないことですから、学生本人たちに英語を学ぶ目的を常に考えさせ、その目的に向けて積極的に学ぶ癖を身につけさせてあげることが重要です。

なので、学生がある程度のレベルに到達したら、本来は”英語を学ぶ”必要などないのです。自分の興味のあることを”英語で学ぶ”ことこそ、英語上達の近道です。例えば私の授業では、学生に自分の好きな企業や企業のプロダクトに関してプレゼンしてもらうという試みをしています。学生にとってそれは自分の好きなものだから積極的に調べてきますし、しっかり準備をしてプレゼンに臨んでくれます。ですので私は学生に英語を教えたというよりも、英語で自分たちの好きなものを学ぶ機会を与えたのです。

③ 日本と世界のことをよりよく知ろう

これはよく言われることですが、グローバル社会で活躍する英語力を身につけたいという人こそ、日本のことをよりよく知る必要があります。というのも、その海外の人にとってあなたは日本の代表だからです。海外の人は、日本人であるあなたに興味を示して、いろいろな質問をしてきます。文化のこと、歴史のこと、社会のこと。それらの質問に答えられるようになり、さらに自分の意見を添えられるような人は、「この人と話していると楽しいな」と思ってもらえます。外国人にとって面白い、ためになりそうなストーリーの引き出しを普段から増やす努力をすることが、グローバル社会において日本人としての持ち味を発揮することにつながるでしょう。

同様に、世界のことにも目を向けておくことが重要です。初めて会う海外の人と会話をする時、その人の故郷についていろいろな知識を持っていると良好な人間関係を築くのに有利になります。もちろん、そんなに詳しくは知らなくてもいいのです。質問をできるくらいの知識があれば十分で、「この人は私に興味を示してくれているんだな」と印象づけることができれば良いのです。

このような話題の幅広さや教養の深さは、グローバル社会で活躍するために英語力と並んで必要な素養の1つなのです。

 

– 柴田先生から英語を学ぶ皆さんへのメッセージ –

1. 好奇心を持って、プラス思考で。

英語を学ぶことそのものは目的ではなく、皆さんの夢を叶えるための過程でしかありません。自分が英語を学んでいる目的と、その夢が叶った時の自分の姿をイメージしていれば、英語は苦痛ではなくなります。資格試験やテストの結果に一喜一憂するのではなく、もっと大きなスケールで英語との付き合い方を考えて欲しいと思います。

2. コミュニケーションを通じて、違いを楽しむ。

英語を学んだからといって、ただちに海外の人と円滑にコミュニケーションがとれるというわけではありません。お互いに英語が上手でも自分の意図が伝わらない、もしくは相手の意図が分からないなんていうことはよくあることです。国によってマナーや考え方が違うのは当然のことだからです。ですので皆さんには、むしろそんな違いを楽しめるような心の余裕を持って欲しいと思います。そうした発見を楽しみながら、長期的に信頼関係を築いていける人ほどグローバル社会では活躍できるからです。

 

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